2017.09.26 秋風吹けば

TOLO PAN TOKYO

「秋の夜はつるべ落とし」よ。

子供の頃、母に教わった。  

だから、早く帰ってきなさいってことだったんだけど。

どういうわけか、毎年ひんやりした秋風を最初に感じるとき、この言葉がいつでも頭に浮かぶ。

だって本当なんだもの。

手を離したつるべがストンと井戸の底に落ちてくが如く、振り返った瞬間、夕暮れが夕闇に変わってる。

 

ところで、季節の変わり目って皆さんはなにで感じてるのかしら?

風の匂い?空気の軽さ?空の高さ?その青色のかげん?

木々の緑の様子や漂う花の匂い?それとも、虫たちの声や姿?

通い慣れた道すがら、自然の移ろいを感じつつ、あたしはアイスクリーム売り場で夏から秋への変化を実感します。

爽やかシャリシャリ系からこっくり濃厚系へ。

夏の間仕事帰りの火照った体をクールダウンしてくれたシャーベット。

さてこれからは、疲れ切った脳みそと体を生き返らせてくれるとろ〜〜〜り濃厚チョコレート系にお世話になるのです。

 

さあ、アイスクリームに限らずとも今年もいよいよチョコレートの季節到来です。

トロパンのチョコレートパンの代表といえば、ゆる〜〜いホームベースみたいな形の

パン・オ・ショコラ ¥240

JUST BAKED!

 

焼きたてのパンはうまい! これは間違いのない事実。

でも、、、といいたくなるのがトロパンのパン・オ・ショコラ。

あたしは断然少し冷めてからの方が好き>^^<

横からちょびっとだけ飛び出したバトンチョコを目指して、バリバリっと猛々しい生地音を響かせながら、

その歯ごたえと2種類のチョコレートときび砂糖の甘苦さをゆっくり味わいたいから。

いやいや、焼きたてのパリパリ、とろ〜〜〜りが最高でしょ。っていうJUST  BAKED派には申し訳ないけどね。

だって、パリパリならぬバリバリ感が、トロのパン・オ・ショコラの持ち味なんだから。

クロワッサンがエレガントな女性ならパン・オ・ショコラは、硬派なそのボディガードの男性ってとこかな。

 

ところで、どうしてこの形なんだろ?だってパン・オ・ショコラって、生地をロール状にくるりと巻いた四角っぽいのが主流でしょ。

これはね、営業中欲しい時に素早くどんどん追加ができるようにと、田中シェフが考案した形なんですねぇ。

チョコレートを巻いた生地の重なり部分が広いと、発酵というプロセスがどうしても必要になる。

そこでのミリ単位での違いは、かつて田中シェフが活躍していたデュヌラルテで実験済み味だった。

そういうわけで、正方形の生地をパタンと1回折りたたむだけの形となった。

四角くたたむか、対角線上に三角にたたむか、、、そこは仕上がりのボリューム感が決め手となったそう。

ただし、ただパタンと折ればいいってわけではないですよ、もちろん。

そこにはプロのひと手間が存在します。

どのくらい、どんな具合に折り重ねるか、折った先っぽをどの程度手でおさえるか、

さらに、バトンチョコを乗せる火が最も入りにくい部分の生地を、どの程度のしておくか。

これらの微妙な塩梅を、デュヌラルテ時代に研究し尽くしたからこそ、

このトロパン開店時、ぶっつけ本番も可能だったわけです。

そうです、その日店に並んだパンは、ほぼ全て試作なしに焼き上げたっていうから驚きだけども、田中シェフならできるよねとも思います。

開店当時の商品がほとんど現役で店に並んでいるっていうのも、田中シェフの力のなせる技です。

 

今回紹介したあたしの大好きパン・オ・ショコラも、開店当時から大切に焼き続けられている商品。

今や、パンラボ主宰の池田浩明さんをはじめ、何人もの固定ファンをつかみ、ファンがファンをつなげてくれています。

秋風吹いたらパン・オ・ショコラでしょ^^

コンベクションオーブンの風を受けて、軽やかに浮き上がったバリバリ君