2016.08.04 天に向かって再デビュー

TOLO PAN TOKYO

驟雨の季節到来。

雷神が苛立ちを爆発させたかのような轟きと、
瀑布と化した低い空。

雨水で満たされた天秤棒を担いだ何体もの雷神達が、
天空のそこここで、力比べでもしているのだろうか、、、

雷神がその重みに耐えかねて震える体の振動で、
一滴二滴と滴り落ちる雨水が、アスファルトに黒い染みをつけ始めたその刹那、
遂に力尽きて、轟音とともに雲海に体を沈める雷神。
投げ出された天秤棒の桶からは、雨水が一気に流れ落ちるのだ。

お客さんもまばらなこんな日は、窓の外を見ながら、
ピンポイントのゲリラ豪雨の正体を想像してみるの。

そして、
棚に並ぶクロワッサン達を注視する。
艶やかだった黄金色の肌が、雨のにおいを吸い込んで、
悲しくも、だらしなく膨張し始めている。

あたしは手袋をつけると、準備に取り掛かる。
力尽きたトロパン自慢のクロワッサンが、再び脚光を浴びられるようにね。

数日の時を経て、
再生への丁寧なプロセスの後、
天に向かって再デビュー。

それが
クロワッサン・ザマンド  ザマンド 

ちっちゃなクリスマスつりーみたいなザマンドは、
その型もユニークなら、味わいもしっとりと印象的。

実はその昔、田中シェフはクロワッサン・ザマンドってパンが
好きじゃなかったと言います。

ところがある時、
そんな気持ちを覆す製法に出会ったそうです。
失われたパンをリキュールに漬け込むという魔法。
ラム酒に漬けられたザマンドを食べて、驚いたのだと。

トロパンのザマンドが、しっとり味わい深いのは、
この魔法かかかっているからよ。
ただし!
常にトロパンらしさを追及する田中シェフ、
ラム酒ではなく、アプリコットリキュールを選びました。
’ うちのクロワッサンのバターの感じに合わせるなら、これかなって ’

ヘーゼルナッツ・クリームとアーモンド・クリームという2種類ものクリーム
で、リッチな甘みが加わり、オーナメントがわりのスライスアーモンドとともに
口にすると、、、
カリッ、ザクッ、しっとりと、次々と違う食感が訪れます。

毎日お店に並んでいるわけではないけれど、
もし出会えたら、ぜひお試しを!

雨の日のクリスマスツリー
クロワッサン・ザマンド
¥270

ところで、
トロパンのザマンドはどうしてこの型なの?
いつか、パンと型の関係について、
考えてみましょう。